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(1)消費者効用の時系列分析

構造モデルを用いて選好パラメータの推計を行い,製品毎・製品グループ毎に選好構造の時系列的な変化を明らかにするとともに,当該パラメータを製品バーコードレベルの購買履歴に当てはめ,効用水準の日次レベルでの推移を算出する.また,こうした選好構造や効用水準の変化が,消費者の属性や購買パターンに基づくクラスタによってどのように異なるのか,政策変化や自然災害などのマクロな事象がどのような影響を及ぼしているのかなどを分析する.

(2)製造物瑕疵の波及効果の分析

食品偽装などの製造物瑕疵による消費者の購買行動への影響を検証する.具体的には,製品バーコード・レベルの購買履歴データから瑕疵発覚前後の当該製品及び関連財(当該製造事業者の他の製品や他の製造事業者の代替的な製品)の価格や消費量の変化を抽出するとともに,構造モデルを用いて背後にある選好パラメータの変化等を推計し,当該製品・事業者・製品グループ全体への影響やその回復,他の製品・事業者・製品グループへの代替がどのように生じるのかを分析する.また,消費者の当該事業者・製品グループに対するリスク認識や支払意思がどのように変化したのか,瑕疵発覚前後の購買行動にかかるinertiaはどの程度かなどについて分析する.

(3)政策の不確実性と消費行動の分析

経済産業研究所の協力の下,日本の政策不確実性指数(Japan Economic Policy Uncertainty Index)の日次レベルの推移を算出し,財政政策や金融政策などのマクロ経済政策の不確実性が消費者行動や選好構造,効用水準の時系列的な推移にどのような影響を与えているのかを分析する.

(4)消費のソーシャル・ネットワーク分析

同じ商品を嗜好・探索し,同じ商品を購入するという消費行動を辺,個々の消費者を頂点とした社会関係をグラフ化した消費のソーシャル・ネットワークを構築・分析する.ネットワークの構造を分析することにより,消費者の選好の多様性とそれに対応した市場の多様性を定量的に把握することが可能となる.

(5)その他

東日本大震災が消費行動や選好構造に及ぼした影響の分析,消費税の税率引上げや金融政策の変化が消費行動や選好構造に及ぼした影響の分析,環境配慮製品を購入するグリーンコンシューマーの分析,使用期間の異なる財を組み込んだ消費者行動モデルの構築などを行う.