R. F.Denison, “Darwinian Agriculture”

原書を読んだわけではないが、書評を見る限り、なかなか興味深い内容だ。

対立軸としてとらえられがちなバイオテクノロジーと自然農法だが、本書の中でデニソンは、その両方に対して進化生物学の観点から批判を展開している。

バイオテクノロジーに対しては、水効率性の改善など、トレードオフ・フリーな改良の失敗例を挙げ、その“空約束”に対して警告を発する。一方、自然農法に対しては、自然生態系は「生態系間での収量などの効率性の観点からの淘汰を経ていない」「生態系内の各植物はそれぞれ個体淘汰を受けている.だからそれは全体の効率性を目指さない」ことなどを根拠に、単純に自然生態系を模倣するタイプの自然農法信奉者を批判している。

こと生物や生態系がかかわる課題については、技術信奉も自然信奉も、都合の良い部分だけに注目しているという点で同じ穴の狢なのかもしれない。私自身はまったくの専門外だが、進化論的な視点は、技術信奉や自然信奉に潜むある種の思考の怠慢を暴き出し、徹底的に相対化する上では有用に思える。

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