先住民族の祈り

(写真)United Nations Photo

リオ+20(国連持続可能な開発会議)において、現地時間6月21日に、先住民族グループが国連会場でサイドイベントを行った。

実はこれに先立つ17〜19日、並行してリオ市内で開催されたピープルズサミットの会場に世界中の先住民族が集まり、「民族自決と持続可能な発展に関する国際先住民族会議」が開かれた。21日のサイドイベントでは、この会議で採択された宣言文が読み上げられ、国連に手渡された。

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21日のサイドイベントの様子

先住民族は、国際社会が保護し、配慮すべき弱者というだけではない。

彼らの社会や文化、技や心、哲学や美学、世界観や人生観には、私たちの未来に欠くことのできないヒントがある。人類が自然と調和して暮らしていくための大いなる知恵が、暮らしの中に生き続けている。そうした無形の資産は、かつて私たち日本人の中にも息づいていたが、残念ながら、戦後の発展の中でほとんどが失われてしまった。

もちろん、資本主義社会の中で生きる私たちが、彼らの暮らしを実践できるわけではないし、それが正解とは思わない。私たちの身体も精神も欲望も、資本主義社会に適応して高度に変形されてきた。私たちが歩んできた道は、あまりにも遠い。

しかし、それでもまだ、私たちは彼らから学ぶべきことがあるように思えてならない。
そして今も地球のどこかで、彼らはその日を静かに待っている。

自分自身の頭と心の整理のために、サイドイベントで配布された宣言文を仮訳してみた。

 

PDFファイル(原文 / 仮訳

 

 リオ+20 民族自決と持続可能な発展に関する国際先住民族会議

2012年6月19日 リオデジャネイロ

世界の全地域の先住民族は、2012年6月17〜19日にブラジル・リオデジャネイロの近代博物館で開催された民族自決と持続可能な発展に関する国際先住民族会議に集まった。

(謝辞・中略)

我々は、今こそ、略奪と汚染、植民地主義、権利の侵犯とジェノサイドの数世紀を反転させる歴史的責任を引き受けるべき時であるということを、声を一つにして確認した。今こそ、我々は将来世代に対する自らの責任を引き受けるべき時である。そして今こそ、人生を選択すべき時である。

1.持続可能な発展の基礎的次元としての文化

同胞及び母なる地球との聖なる関係に基づく我々の根源的な文化的信条体系と世界観が、時を超えて我々民族を支えてきた。我々は、我々の伝統知識の保持者と、先住民族の女性と若者の参加と貢献について認識する。

文化は、自然とともにある我々の存在と生活のありようそのものであり、我々の価値観、道徳的・倫理的選択、行動を規定する。我々は、すべての社会が持続可能性の文化を促進しなければならず、リオ+20は文化を持続可能な発展の最も基礎的な次元として強調すべきであると信じる。

2.人権と集団的権利の完全なる行使

我々は、母なる地球とすべての生命が深刻な危機の状況にあると考える。我々は、現在の発展のモデルは危機の道を歩み続けていると考える。我々先住民族は、こうしたアプローチによって恐ろしい負の影響を経験してきた。これらの脅威は、自主的な孤立の状態にある民族にまで及んでいる。

持続可能な発展は、人権の完全なる行使と実現によって達成される。先住民族は、持続可能な発展と民族自決は補完の関係にあると考える。様々な国で、国家が我々の人権を尊重し、守り、促進する義務を果たすといった程度までの進展があったが、一方で、いかに“持続可能”“反貧困”“グリーン”などの形容が付けられていようと、政府がトップダウンの開発を押し付けているところでは、紛争が拡大している。意思決定における完全なる参加と、我々に影響を与える政策・計画・事業に対する「自由で事前の、十分な情報を与えられた上での合意(FPIC)」を尊重することを含め、先住民族の権利に関する国連宣言は、すべてのレベルにおける持続可能な発展の実施において適用されるべき基準である。

3.多様なローカル経済と領域管理の強化

先住民族にとって、民族自決はBuen Vivir / Living Wellのための基礎であり、それは土地の権利と領域管理(territorial management)の確保と、活気のあるコミュニティ経済の構築を通じて実現される。こうしたローカル経済は、持続可能な地域生活とコミュニティの連帯を生み出すとともに、レジリアントな生態系の重大な構成要素である。

我々は、搾取的産業、略奪的投資、土地収奪(land grabbing)、強制移住、持続不可能な開発プロジェクトに対して、土地・領域・資源に関する我々の経済と権利を強化し、守り続ける。これらには、大規模ダム、プランテーション、大規模インフラ、タールサンド採掘その他のメガプロジェクト、さらに我々の生物多様性と伝統知識の窃盗や横領が含まれる。

会議からは、グローバル危機への様々な答えが導き出され、それは会議に参加した文化と同じく多様であった。最も偉大な富は、自然の多様性とそれに伴う文化の多様性である。両者は密接に関係しており、同様に守られるべきである。

先住民族は世界に対し、母なる地球との対話と調和に立ち戻ること、そして、Buen Vivir / Living Wellに基づいた新たな文明のパラダイムを採用することを呼びかける。慈愛と我々の集団的な生存・尊厳・福利の精神において、我々は、人類が同胞と母なる地球との関係を集団的に改め、Buen Vivir / Living Wellを高潔のもとに確実に進めるための重要な基礎として、我々の文化的世界観を敬意をもって提供しよう。

これらの確認事項と合意事項に基づき、我々は以下のアクションを起こすことを約束する。

先住民族コミュニティ・民族・国家のそれぞれの内部とそれらの間

1) 我々は、我々の伝統文化と知識と実践と、民族自決に関する固有の権利に基づき、経済的・社会的・文化的発展と環境保護のための我々自身の優先事項を定義し、実施する。

2) 我々は、我々の伝統知識とその実践を伝達するための制度と方法を、我々の年配の女と男たちから次の世代への伝達に重点を置きながら、活性化・強化・回復する。

3) 我々は、我々の生物多様性の遺伝的高潔さを強めるため、種子の交換を含め、我々のコミュニティと民族間における知識と物の交換を回復させる。

4) 我々は、我々の土地・森・水・文化の実践・食料主権・伝統的生活・生態系・権利と生活様式を脅かすプロジェクトに抗するためのお互いの闘争を、固い結束をもって支持する。また、農民・漁民・牧民を含め、権利が侵害されている人々を、固い結束をもって支持する。

国家と企業のアクションについて

1) 我々は、自然界の植民地化・商品化・汚染・搾取に基づく、新自由主義の支配的な思想と開発の実践と、このモデルに基づく政策や事業を拒絶し続ける。

2) 我々は、先住民族の固有かつ不可侵な集団的で世代を超えた権利を支持する国内及び国際的法規・基準と、各種の条約・合意・建設的調整・先住民族の権利に関する国連宣言・ILO条約第169号の下で確約された権利のもと、国家がその約束を完全に実施することを求める。

3) 我々は、先住民族の土地・領域・生態系・生活に悪影響を与えるか、企業その他の第三者のそうした行為を許可するような国家の政策や事業を拒絶し、断固として反対する。

国連において

1) 我々は、持続可能な発展・生物多様性・環境・気候変動に関するすべての議論と基準設定活動に対し、我々が完全かつ実効性をもって参加することと、これらのすべてのプロセスにおいて先住民族の権利に関する国連宣言を実施することを求める。

2) 我々は、国連持続可能な開発会議、先住民族に関する世界会議(WCIP, 2014)、並びに、我々の権利と生存が影響を受けるその他のすべての国際的なプロセスに対して、このメッセージを伝える。我々は、持続可能な発展に関する先住民族のビジョンと実践を、WCIPにおける議論の焦点とすることを提案する。

我々は、我々の権利を確かめ、将来世代に対する我々の神聖な責任について繰り返しつつ、2012619日、リオにおいてこの宣言を採択する。